「ありがとう」を「すみません」と言うおばちゃん
「ありがとう」の代わりに「すみませんね」と言うおばちゃんがいる。
60手前くらいのおばちゃんで、ホテルの売店の仕事・ロビーサービスの仕事をしているのだが、何かを買ってもらった時、グラスを返してもらった時、ゴミをもらった時、ジャンプを返してもらった時にかならず
すみませんね
と言う。
すみませんと言うのは、自分の解釈では、自分が相手に非を詫びる時に使う言葉なので、この場合は、礼を述べているのだから、ありがとうと言うべきだと思うのだけれど、きっとこのおばちゃんは60年近く
すみませんね
と言い続けてきたのだろうと思う。
コンビニの店員に商品を袋に入れてもらった時も、レストランで食事を運んでもらった時も、友達にお土産をもらった時も
すみませんね
と言ってきたのだ。
すみません、よりもありがとうと言ってもらった方が気持ちがいいと思っているし、自分はありがとうと言う。
しかし、実のところ世の中には、もしかしたらすみません、をありがとう、の意味で使う人も少なくないのかもしれないと思ってきた。
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中国では、親しい仲の友達にはあまり、ありがとうと言わないらしい。
関係性の遠い相手には、ありがとうと言うが、仲のいい相手には、特に何も言わないのだとか。
「日本人はよくありがとうと言いますね」と言われて驚いたが、国によっての文化の違いはこう言うところにも現れるのだ。
中国において、親しい人にありがとうを連発してしまうと、「あなたと私は親しくない」というメッセージを暗に発信してしまうこともあるのだとか。
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自分が使う言葉、人が使う言葉、相手の常識、文化の違い。
気にしてみなければすれ違いが起こるのである。